ただの学生が微表情分析のスペシャリストを目指す

人種、性別問わず0.25秒以下で起こる表情の微妙な変化や会話の最中に見られるしぐさ。それらは意識的にコントロールできないため、非常に重要なサインであるのに見落とされがち。そんなことに興味を持ち独学で非言語コミュニケーションを学ぶことを決めた、ただの学生のブログです。

子どもはなぜ嘘をつくのか?発達心理学から人が嘘つきになるまで

前にもお話しした通り、人は嘘をつかずにはいられない生き物です。
それでは、私たちはどのように嘘をつくことを覚えたのでしょうか?


答えは、「学習」によってです。
我々は、子どものときから継続的に、周りの人を観察したり、嘘をつくことを試し、成功や失敗を経験することによって、嘘をつくことを身に付けていくのです。


今回は、子どもがなぜ嘘をつくのか、またどのように嘘をつくことを学んでいくのかについてお話ししたいと思います。


いつから子どもは嘘をつくのか


2002年に、カナダのブロック大学の心理学者アンジェラ•D-•エバンズ氏と、カン•リー氏によって行われた研究によると、子どもは2歳を過ぎるころから嘘をつき始めることが明らかになっています。3歳になる頃には、さらに頻繁に嘘をつくようです。


しかし嘘とは言っても、2歳や3歳という年齢では、高度な思考や認知を司る前頭葉の発達が充分ではないため、すぐに嘘がバレてしまったり、自分から唐突に真実を言ってしまったりと、嘘をつくクオリティが低い傾向があるようです。


実際に、エバンズ氏とリー氏は、ある実験で、2歳から4歳の子ども65人を集めます。

子どもたちの後ろにぬいぐるみを置き、「後ろのぬいぐるみを見てはいけないよ」と指示をし、そして、実験者は、わざとよそ見をします。


すると子どもたちの80%が、実験者がよそ見をした隙に後ろを振り向きました。

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見てはいけないといわれたぬいぐるみを見てしまい、「見ていない」と嘘をつく子どもの例ですが、同じシチュエーションだったら大人も意外と見てしまうかも?



*してはいけないといわれると、したくなってしまう心理。以前お話しした、「心理的リアクタンス」の良い例ともいえますね。
その記事についてはこちらをご覧ください↓

www.lietome.me

 


その後、ぬいぐるみを見てしまった子どもたちに「後ろを見なかった?」と聞くと、2歳ではおよそ25%が、4歳ではほぼ90%の子どもが
「見ていない」と嘘をついたのです。


ちなみになぜ子どもたちがぬいぐるみをよそ見したのかがわかったのかというと、カメラを設置し、こっそりぬいぐるみを見た瞬間を録画していたからではありません。
ぬいぐるみをこっそりと見たとされる子どもたちは、彼らの後ろにおかれた、見ていないはずのぬいぐるみの見た目を非常に細かく、細部まで描写できたからでした。
ここに、2歳から4歳の参加者たちの
詰めの甘さといいますか、嘘をつくクオリティの低さが見えて可愛らしいですね。


子どもの年齢が7、8歳になると、2歳から4歳のときにはなかったような認知能力が発達し、他人の視点や観点から客観的に物事を考えられるようになります。
今までは、全てものを主観からしか見ることができませんでした。(自分を中心に据えた視点から物事を見ることを発達心理学において「自己中心性」と呼びます。よくいわれる自己中や、エゴイズムとは異なるので注意です)
つまり、7、8歳の子どもは、自分の嘘が相手からどう見えるかを考えることができるようになるのです。より高度な嘘つきへまた一歩近づくことになります。


子どもが嘘をつく理由


子どもが嘘をつく理由は、大人とたいして変わりません。
幼いうちは、ほとんどの場合、罰を逃れるために嘘をつきます。
年齢を重ねるにつれ、「観察的学習/observational learning」や、経験を通して他の種類の嘘を学んでいきます。
*観察的学習/observational learning についてはこちらの記事をご覧ください↓

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そうです。以前お話しした、「優しい嘘/欺瞞の嘘」なども覚えていくのです。
*「優しい嘘/欺瞞の嘘」についではこちらをご覧いただければと思います↓

www.lietome.me

 
先程の実験で紹介したカン氏は2012年にも別の実験を行なっており、この「優しい嘘/欺瞞の嘘」が3歳の子どもに見られることを発見しました。
3歳の参加者に石鹸をプレゼントしたところ、その子どもは、その場では「とても気に入った」と答えましたが、後に石鹸のプレゼントに満足していないことが明らかになったのです。

 

どうでしたか?
個人的に子どもは、周りの人々とのコミュニケーションを通してや、自分自身の成功や失敗の経験から嘘をより上手につくことを身につけていくと思いますが、親や兄弟による影響も非常に大きいと思います。前の記事にて述べさせていただいた通り、親や兄弟は「観察的学習/observational learning」において「観察対象/model」になりやすく、子どもたちは、その観察対象の行動などを模倣し、学習していきます。罰から逃れるためや、欺瞞のために子どもは嘘をつき、それが成功したら味をしめ、失敗したならばもっと良い方法を自ら考える、または親や兄弟といったさらに高度な嘘つき達からその術を学んでいくのです。
嘘をつくことが全て悪いことであるとは思いません。なぜなら、冒頭でも言ったように、嘘をつかない人間は存在しないからです。


もしあなたが子どもに「なんでそんなに嘘ばっかりつくの?」や、「嘘をつくのをやめなさい」と言っていたとするならば、まずはあなたや、その子どもを取り巻く人々の行動から見直してみてはどうでしょうか?

嘘発見の権威とも呼ばれる、微表情やFACSに長年貢献してきたエクマン氏の本です。興味のある方は是非こちらの本を読んでみてください↓

 


ありがとうございました🐈

 参照

Evans, A. D., & Kang Lee. (2013). Emergence of Lying in Very Young Children. Developmental Psychology, 49(10), 1958–1963. https://doi.org/libproxy.temple.edu/10.1037/a0031409

Ma, F., Evans, A. D., Liu, Y., Luo, X., & Xu, F. (2015). To lie or not to lie? The influence of parenting and theory-of-mind understanding on three-year-old children’s honesty. Journal of Moral Education, 44(2), 198–212. https://doi.org/libproxy.temple.edu/10.1080/03057240.2015.1023182


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